ゴッドサウナーが導く、ワンランク上のサウナの嗜み方。「ととのう」の正体とは一体何なのか?
今回、話を聞いたのは、フィンランド政府観光局が認めたフィンランドサウナアンバサダーの一人であり、日本のサウナに関する歴史を紐解いた『日本サウナ史』の著者でもある、「ゴッドサウナー」と呼ばれる草彅洋平さんだ。草彅さんは一体どこにチル要素を感じているのか、そして「ととのう」という言葉の正体は何なのか。「サウナなしの生活は考えられない」と話す草彅さんに聞いてみた。
■プロフィール
草彅洋平(くさなぎようへい)
編集者、プロデューサー。フィンランド政府観光局が認めた公式のフィンランドサウナアンバサダーの一人。著書に『作家と温泉/河出書房新社』『日本サウナ史』など。BRUTUSのサウナ特集号では監修も務めている。
嫌いだったサウナの魅力に気づくまで
サウナの魅力を知るには実際に体験するほかない、ということで都内にあるサウナ施設で行った今回の取材。我々取材班も草彅さんとサウナ室の中で肩を並べ、話を伺うことにした。
サウナ室に入って早々「このサウナストーブは“MISA”ですね。フィンランド大使館でも使われてるんですよ」と教えてくれた草彅さん。座る位置にも迷いはない。サウナストーブに最も近く、2段あるサウナベンチの上段、1番温度の高くなる席だ。サウナストーブをじっと見つめながら「もう少し石を積んだ方が良いんだけどなあ……」と呟く。開始数分にも満たない時間のなかで、草彅さんがサウナ界で「ゴッドサウナー」と呼ばれる所以を節々に感じる。
草彅さんといえば、現在のサウナブームのさきがけとなった、野外サウナイベント(2017年、下北沢ケージにて)を手がけ、2021年にサウナの歴史について自ら調査、執筆したサウナの歴史の決定版『日本サウナ史』の著者としても知られる。そんな草彅さんだが、なんと人生の大半は“サウナ嫌い”だったという。
「サウナは苦手でしたよ。子供の頃、親父がサウナに入ってるときに『俺も入ってみよう』って覗きに行ってたんだけど、ただ暑いだけで何が良いのか分かんなかった(笑)。でも、『最初からサウナが好きな人は誰一人としていない』という金言があります。結局、勇気を出して水風呂に入るまで、その良さは分からないんですね」